*。:.゚ボクとアナタとチョコレートと゚.:。 ゚【BL】

ナツくんを意識し始めたのは、実は最近――。



和が大学に忘れ物を取りに行っている時だった。




俺はいつものように和の家にお邪魔して、彼の部屋で本を読んでいた時かな。


ちょうど、当時付き合っていた相手から電話があって、やっぱりソイツは俺を束縛して、別れようって電話で切り出した。



当時付き合っていたのは男で、けっこう感情的になりやすいヤツだった。


それで別れを切り出した俺のことで相手がキレて、付き合ってきて今まで溜まっていた鬱憤もあったんだろう。


罵声を耳元でたくさん言われた。


途中でしんどくなって電話を切った時、和の部屋に居たのがナツくん。


手にしていた御ぼんにティーカップとお菓子を乗せてぼーぜんと立ち尽くしていた。


たぶん、相手からの罵声が携帯から聞こえていたんだろう。

返す言葉もないままナツくんを見つめていたら、彼はテーブルに御ぼんを置いて……。


黒くて大きな瞳が心配そうに俺を見つめていた。


普段だったら、放っておいてくれと突き放すハズなのに、その時の俺はただ苦笑いをしていた。


そうしたら、ナツくんはただ何も言わずに項垂れた俺の頭を撫でたんだ……。



もう限界だったのかもしれない。


自分でも気づかないうちに、別れを繰り出すうち、身から出た錆(さび)とはいえ、付き合っていた相手に心無い言葉をぶつけられ、そうして傷ついていたのだと、その時に知った。



ナツくんが教えてくれたんだ……。



俺はきっと、気まぐれな自分を受け入れてくれる人を探していたのかもしれないと……。




「ナツくんは別。未来のお義兄さんに嘘はつかないよ」


ナツくんを大切にしたい。


いつの日か、そう思うようになった。




「お義兄さん……それはやめてくれ。寒気がする……」

「え? 寒気? 風邪じゃない? 体は大切にしなきゃ。じゃ、俺が送っていくよ」


誰のせいで……。


とぽつりと呟いている和だけど、そんなのは無視。




……ふふっ。

ナツくんに会える。



俺は上機嫌になって手を動かし、帰る支度を急いだ。




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