世界を濡らす、やまない雨


有里に置いていかれてしまった私は、近くのコンビニでお弁当を買うと社員共有の休憩室へ向かった。


休憩室は持参したお弁当を食べる社員達で込み合っていた。

私は視線をきょろきょろと動かして部屋の中を見回したあと、奥の方に一人分の席が空いているのを見つけてそこに座った。

座って、コンビニ弁当が入ったビニール袋を前にため息をつく。


私を完全に拒絶する有里の背中。

一瞬だけ振り返って私を見た、他人を見るみたいな冷たい目。


思い出すとまた、小さな傷みが胸を掠める。


< 104 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop