世界を濡らす、やまない雨


スマホから彼の連絡先を探し出して、通話ボタンを押す。

雨に濡れすぎて、ダメになってしまっているかもしれない。


そう思ったけれど、耳に押し当てたスマホからはちゃんとコール音が聞こえてきた。


一回、二回……


機械的に響くコール音を心の中で数える。


「もしもし」


何度目かのコールでその声が返ってきたとき、閉ざした瞼から涙が零れ落ちた。


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