世界を濡らす、やまない雨




角谷は私の話を何も言わずに黙って聞いてくれた。


「人からすれば、大したことない話なのかもしれない。世の中には、もっと苦しい想いをしている人がたくさんいる」


佳乃のほうが、

有里のほうが、


きっと私なんかよりもずっと辛かった。


「だけど、やまないの────……」


唇を噛みながら、窓のほうに目を見やる。


斜めに吹き込んだ雨が幾筋も窓にあたって、それが下に向かってつたうように流れていく。


私はその水の流れを目で追いながら呟いた。

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