世界を濡らす、やまない雨
◇
角谷は私の話を何も言わずに黙って聞いてくれた。
「人からすれば、大したことない話なのかもしれない。世の中には、もっと苦しい想いをしている人がたくさんいる」
佳乃のほうが、
有里のほうが、
きっと私なんかよりもずっと辛かった。
「だけど、やまないの────……」
唇を噛みながら、窓のほうに目を見やる。
斜めに吹き込んだ雨が幾筋も窓にあたって、それが下に向かってつたうように流れていく。
私はその水の流れを目で追いながら呟いた。