世界を濡らす、やまない雨
耳を澄ますと、まだ激しい雨の音が聞こえる。
「そうかな……」
私の小さな呟きを聞いた角谷は、苦しそうな表情を浮かべながらもほんの少し微笑んだ。
「そうだよ。すぐにやむ」
「でも、もしかしたらこのままやまないかもしれない。だって、あんなに激しく降ってるんだもの」
角谷は困ったように笑うと、まだカーテンの向こうを気にする私の頭にそっと手を載せた。
「道木さん、少し眠る?目を覚ましたときには、きっと雨がやんでる」
それほど眠くはなかったし、今降り続いている雨がやむとも思えなかった。
けれど角谷が悲しそうに眉尻を下げるから、私は何も言わずにただ頷く。