世界を濡らす、やまない雨


彼女がお母さんと一緒によく舞台を見に行くこと。

日本のアーティストの曲よりも洋楽をよく聴くこと。

タイトルは忘れたけれど、難しい外国の小説を読んで感動して一晩中寝られなかったこと。


佳乃の話は、昨夜見た恋愛ドラマの話や好きなアイドルの話、気に食わないクラスメイトの話で盛り上がるクラスの他の女の子たちよりもずっと大人びているような気がして……

私には新鮮だった。



「杏香ちゃん」

彼女の首を傾げて笑う癖も。はきはきとしたよく通るその声も。私は少しも忘れていない。


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