初恋シグナル~再会は恋の合図~


「なに?」



訊き返すと、辻村くんは一瞬視線を彷徨わせた後、ゆっくりと私の瞳を見つめてくる。


まるで逸らすことを許さないようなその強い視線にびっくりしたけれど、私は黙って辻村くんの言葉を待った。




「……この試合が終わったら、話したいことがある」



しばしの沈黙の末、辻村くんはそう言った。



「話したいこと……?」



首を傾げて聞き返す。


だけど、私の言葉なんか聞こえてないかのように辻村くんはくるりと方向転換すると、ピッチに走っていった。


私は呆然としてその姿を見送るしかない。



……ていうか、わざわざ宣言してまで話したいこと、って一体何なんだろう。



「美祈、後半はじまるよ!」


「あ、はい!」



辻村くんの言葉は気になるけど、今は試合に集中しよう。


そう思って、私を呼ぶ美涼先輩のもとに向かったのだった。


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