初恋シグナル~再会は恋の合図~

今夜は学年で夜の清水寺に行くことになっていて、1日中歩き通しだった私たちには結構なハードスケジュールだ。


いちど座ったらなかなか立ち上がりたくなくて、ロビーに着いたのは7時になるちょっと前。


そこからクラスごとに用意されたバスに乗り込む。


私たちも、ぞろぞろと人の波に流されながらなんとか自分たちのクラスのバスに乗ることができた。



「でも、夜の清水なんてすごくない?ライトアップされてるらしいよ!」


「ねー!すごい楽しみっ」


ガイドさんのお話を聞きながら、夜の京都をバスの中からも楽しんだ。



清水寺は、私たちと同じような修学旅行生、そしてたくさんの旅行者で溢れかえっていた。


お土産をゲットすべくお店に入れば人でギュウギュウだし。


歩くだけでも、暗いのもあって弥代や皆とはぐれないようにするのが精いっぱい。



「あ、辻村くんじゃん」


人混みにもまれながら歩いていた私は、弥代のそんな声に顔を上げた。


演劇部で鍛えられた弥代のよく通る声はもちろん辻村くんにも届いていたようで、私と同じタイミングで視線がこちらに向いたのが分かった。


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