初恋シグナル~再会は恋の合図~


……私は。


彩織さんのことを、単なる元カノだと思っていた。


まさか、あんなに可憐な少女が辻村くんを変えてしまった張本人だったんなんて、思ってもみなかった。


だから、辻村くんに彩織さんと話すように言ったんだ。


このままじゃ終われないからと。


私も前に進めないから、と。



……なんて残酷なことをしたんだろう。



彩織さんは、辻村くんは許してくれたと言ったけど。


そんなに簡単なものじゃないと思う。


本当は、今でも傷は完全には塞がってないと思う。


だって、信じていた人に裏切られることほど、辛いことはないから────。




「ごめん、ね……!」



ごめんね、辻村くん。


私も辻村くんのこと追い詰めてたね。



「うう……っ」



熱が上がってきたのかもしれない。


そのせいでいつもより緩くなった涙腺が、まるで止め方を忘れてしまったかのようにポロポロと涙を零れさせてくる。



それは割れそうな頭の痛みのせいなのか、それとも重すぎるほどに心を圧迫する罪悪感のせいなのか。


とめどなく溢れてくる涙の理由さえも、わからなくなっていた。



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