だぁーッいすき
帰り
優奈の家に向かった。
誰もいなかった。
やっぱり
体調悪い訳じゃないんだ。
帰ろうと思ったときだった。
「まき…」
弱々しく
まきを呼ぶ声。
「優奈!!」
振り返って
みた姿は
とても優奈とは
思えなかった。
「ど…したの?」
派手にメイクされた顔。
爪はきれいに飾られ
髪は真っ黒だったのに
焦げ茶になっていた。
両手には
袋を提げていた。
「どうすれば…かわいくなれんの…?」
かすれかすれな声。
「ねぇ。教えてよ。」
優奈はそう叫んで
手に持っていた袋を
その場に落として
まきに
抱きついてきた。
「優奈は可愛いよ。
優しいし。美人じゃん。」
優奈は
首を横に振る。
「嘘だ!だって…」
優奈は泣きじゃくった。
道を歩く人々はまきたちを
ちらちら見て
いやそうな顔をして
通っていく。
「こっち見んじゃねーよ!」
優奈がそう叫び
走り去る人々。
「優奈…」
優奈が壊れてく。
なんでこんな時に
空翔はいないの?
彼氏じゃん。
好きなんでしょ?
守ってあげてよ。
「とりあえず家入ろう。」
優奈は
コクリと頷き
鍵を開ける。
まきは優奈の荷物を
取りに行った。
中を覗くと
凄く可愛いアクセサリーや
大人っぽい服もあった。

ある人から電話かかってきた。

その言葉が
頭をよぎった。
あの日確か…
もしかしてまきじゃ…
「あのね。空翔ケー番
教えてくれなくて。」
やっぱり。
「そしたら電話かかってきて楽しそうに話してた。」
まきはただ
頷くことしか出来なかった。
「誰って聞いたらいとこだって…」
いとこ?
まきは?
「それから?」
空翔うそついたの?
「急用出来たからって優奈を置いて
帰っちゃったんだ。」
空翔。
まきが悪いのに
かばったんだね。
でも置いて帰っちゃったのは
だめだよ。
しかも
その日じゃなくてよかったのに…。
あの日空翔は
まきが読みおわった小説を
取りに来た。
デートだって
知ってたら…。
「空翔心配してるよ?
明日は来てね」
まきは
自分を責めつつ帰った。
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