だぁーッいすき
戻りたい。
「なんで。」
そう言った瞬間
泣崩れてしまった。
「泣くんじゃねーよ。」
そんなに酷くしないで。
まきは…
「智也くん!!空翔!!」
ずっと3人でいたいの。
「もぉ」
もぉなんなの?
智也くん教えてよ。
「そうやって呼ぶな。」
空翔が言うの??
呼ぶな?
智也くんは飛び出していった。
空翔は泣崩れるまきの隣に座って
優しく背中を撫でた。
なんで??
意味分かんない。
「智也を恨まないでくれ。
あいつは今、必死なんだよ。
大切な物を守ろうとして。
凄く辛いんだよ。」
大切な物??
辛い?
「今のまきには言えない。
だけどこれだけは言える。」
今のまきには言えない??
「智也は裏切ってないから。」
裏切ってない?
そういって帰って行った。
そういえば
智也くん。
まきの傘使ってなかったな。
空翔の傘に一緒にいたのかな?
まきってなんで…。

自分が1番辛いんだって
そう思い込んでた。
なら智也くんも辛いなんて知らなかった。
そんな話をしている空翔も辛いんだろうなって
感じられる。
「2人ともごめん。
勝手にまきは…。」
誰もいない。


―あの日。
まだ幼稚園に行き始めたばかりのころ。
「まきちゃん。
たいせつなものをまもるってすごく
たいへんなんだって。」
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