俺、弟に襲われます!!短編集
数日前。


「リオ、今年は何賭けよっか」

僕がソファでゲームをしていると、お兄ちゃんが携帯を弄りながら話しかけてきた。

話しかけるならちゃんと相手の目を見て言ってよねー!
いいもん、僕だってゲーム続行しちゃうから!
…なんか、僕、女々しくなった?

「2/14。チョコ。何賭ける?」

携帯をパチン、と閉じて(未だにお兄ちゃんはスマホじゃないんです)僕の方をきょとん、とした顔で見てくる。
ゲームはやめないよ。ちょっと今、丁度いいとこになっちゃったから。


って、2/14…?

……

バレンタインデーだぁぁあ!!


「リオー?聞いてる?」
「チョコの季節到来っ!わーい天国ー!!」

ゲーム機放り投げて思わず両手をあげる僕。
お兄ちゃんからの問題提起はもはや僕の頭の中には存在してません。

チョコ好き甘いもの好きの僕にとっては、バレンタインデーはまさに神行事!
あぁ、今年は何もらえるかな?

生チョコもいいな、クッキーなんかもいいな!チョコブラウニーなんかも最高だよね!トリュフもいいし、カップケーキもいい!

わー楽しみだなぁ!早く当日にならないかなっ!


「話を聞けっ」
「あぅっ!」

すっかりチョコワールドに入り込んでいると、お兄ちゃんからチョップされた。
全然痛くないんだけどね。
手加減してくれるのがお兄ちゃんの優しさの表れだよねー。ますます惚れちゃうよ。(只今、僕、テンションおかしいです)


「ごめんごめん。えーと、何賭けるか、だっけ?」

僕達は、毎年どっちが多く貰えるかで勝負してる。
去年は確か、宿題1週間分賭けたんだっけ?
結局引き分けだったから自分でやったんだけど。

「何にしよっかー」

引き分けかもしれないけれど、やっぱり賭け事って賭ける事が楽しいんだよね。
だから真剣に考えるよ。


僕が悩んでいると、いきなりお兄ちゃんが後ろに周りこんできた。

「なぁに?」
「別に…なんとなくしたかったから」

お兄ちゃんの腕が首に絡まってる。
珍しく素直なお兄ちゃん。顔は…あわわ、なんでそんな不機嫌な顔してるの。


でも、やっぱりかっこいいなぁ。
僕、こんなかっこ良い人と付き合ってるんだよなぁ。
ていうか、お兄ちゃんの顔超ドアップだよ。

なんて考えながら、お兄ちゃんの顔に手を伸ばす。
指が頬に触れると、ちょっとビクってされた。
あ、今の萌えた。

やばい、裏リオ出てきそう…
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