俺、弟に襲われます!!短編集
「これは、仕返しの度を過ぎてるのでは?!」
「俺に歯向かおうなんざ100年速いんだよ」


俺は笑いながら兄ちゃんが貰ったチョコを、自分の口に入れる。
そして兄ちゃんに口移し。
完全に兄ちゃんの口に入ったことを確認して、唇を離す。

「これで兄ちゃんは11個」
「サイッテー!」

あ、今の女子っぽい。
まぁ元々女顔だけど。それ言ったら俺も女顔ってなっちゃうけど。
そんな顔されたら、ホントに女みたいなんだよなぁ。


「さぁもう一個」
「は?」

また兄ちゃんのチョコを口移しで食わせる
それの繰り返し。

兄ちゃんのチョコが減ってくに連れて、兄ちゃんの体力も減ってってる気がする。
比例関係って感じ。


「リオ…まだやるのか…?」
「次でラスト」

俺は最後のチョコを口に放り込んだ。
兄ちゃんは途中で反抗する事に諦めたらしい。
自分から口を開けてくれるようになったから。なんだかエロいぞ、兄ちゃん。

チョコを上手く自分の舌に乗せて、兄ちゃんの口の中に滑り込ませる。
俺、なかなかのテクニシャンじゃん。
今度さくらんぼのヘタ結びに挑戦しよっかな。

イロイロ考えながら、兄ちゃんがチョコを飲み込むのを待つ。


「…食った?」
「ん……」

兄ちゃんが頷く。
てことで。


「今年は俺の勝ち」
「はぁ…」

諦めたように溜息をつく兄ちゃん。

「ん?どーした?」
「いつもと一緒じゃん…」

ボソっ、と呟いた言葉が部屋に響く。
確かにいつもと一緒だけども、それがいやなのかな。
なんて考えていると、兄ちゃんが俺の思考を見透かしたように慌てて首を横に振る。

「別にいいんだぞっ?!いつも通りで!…けど」
「けど?」
「……なんか恥ずかしいじゃん」


何で照れてんのかわかんないけど、可愛かったからとりあえず、ね?
ちなみに兄ちゃんの手首はそのままだから、軽々とお持ち帰り出来ましたとさ。


おしまい。
< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop