TABOO Ⅷ~彼の腕の中~


その声にビクッとした手から、ボールが転がり落ちていった。


それを拾い上げたのは…


「ヒカルか。何って個人レッスンだよ。ね、結衣さん?」


同意を求めるように顔を覗きこまれたけど、困って俯いた。


だけど次の瞬間、ダンッと何かが床に叩きつけられるような音に驚いて顔を上げると、さっきまで彼の手にあったボールがゴールに吸い込まれていくところだった。


「ナイッシュ!」


そんな歓声に答えることなく、


「オレが教えてやる」


そう言ってあたしの腕を引っ張り、唖然としてる今井くんを残し体育館を出た。


< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop