蓮華〜流レルママニ〜


「おっはよ〜」

朝から、爽やかな笑顔で挨拶をしてきたのは、同じ学校のクラスメート。

「あぁ。おはよ」

素っ気ない返事だけど、顔は笑顔。これで大体ウマくいく。

笑顔を作るのは下手じゃない。

…最後に心から笑えたのは、いつだったか…

そんな事を考えながら、いつもと変わらない通学路を歩いてた。

ふと、

同じく学校へ通う小学生の集団が目に入った。

皆、無邪気だな。

クスッと自然に笑顔がこぼれた。

その心から笑っている顔を見て、嬉しかったのかもしれない。

別に笑顔がこぼれた事に違和感はない。
何故なら…

子供は好きだからだ。

素直な所?

元気いっぱいな所?

違う…。



何も知らない所だ。

知らないでいる事、それが羨ましいのかもしれない。

人の醜さを、汚れを。知識と共に、素直さは薄れ、人それぞれの価値観が生まれ、他と争うようになる。争うのに怖くなると、自分の気持ちを押し殺し、共存していく。

その事をまだ知らない。少なからず、まだ経験していない…

大人になるとは、どういう事か…

俺には知る由もない。
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