蓮華〜流レルママニ〜

理由




―3年前。

15歳、夏―


「俺、高校には行かない」

8月中旬、夏休みも中盤を迎えた頃、いつものようにお互いの家を行き来しては2人で遊んでばかりいた時、不意に蓮がそんな事を口にした。

「何でよ〜!?高校には行かないと駄目だって!」

読んでいた雑誌を閉じると、蓮の言葉に憤る。

「だって意味ないだろ!?」

その蓮の言葉が何を意味するかが分かるからこそ、更に憤慨し蓮に続く。

「意味なくないよっ!!…高校卒業しとかないと、ロクな就職先なんてないんだからねっ!!」


「…だから…『それ』が意味ないんだって…」


「…どうして?…何で意味ないの…?」

理由は分かってる。
だけど、その言葉は聞きたくない。

だからこそ蓮に言わせ、…そして二度とその言葉を口にさせない為に敢えて尋ねた…

「…いつまで生きられるか…わかんねーだろ!?…だから勉強なんて必要ねぇじゃん」

少し言いにくそうではあったけど、その言葉を口にした。

その瞬間、

思い切り蓮の左頬を平手で、打った。

蓮は叩かれた頬を抑え、

「いってぇなっ!!何すん…」
「二度とそんな事、言わないでっ!!」

目には少し涙を浮かべながらも、強い口調と真剣な眼差しで蓮を叱咤する。

「じゃあっ、一生懸命頑張ってっ、高校を卒業してっ、大人になる前に死んじゃったら、どーすんだよっ!?…それなら、…それまで遊んでた方がいいだろっ!?」

しまった、という顔を見せながらも頬を叩かれた事で感情的になる。

「…それで幸せなの…蓮は…?」

「!!…」

「…未来を見ないなら…死んでるのと同じじゃないの…?…死に怯え生きる事が…幸せなの?」
< 74 / 98 >

この作品をシェア

pagetop