別れの笑顔
別れの笑顔

「やっぱりここにいた」

屋上の扉を開けるとコンクリートの床の上に仰向けに寝転がる彼がいた。

「隣、いい?」

「…どうぞ」

卒業証書が入った筒を置き、私も彼の隣で仰向けになる。

今日の空は小さな離れ雲がいくつかあるだけの、蒼く、爽やかな空が広がっていた。



勝手に彼の後を追って屋上に姿を現した私を嫌な顔一つせずに受け入れてくれたのが半年前。

スッと教室から消えていく彼を追い、彼と一限だけサボり、そして彼と教室に戻る。

教室に戻れば挨拶を交わす程度のただのクラスメイト。私は友達の輪の中へ。彼も親しい友人のもとへ。

屋上でも特に会話をする訳でもなく、ただ2人で寝転んで、空を見上げて。ただそれだけ。

でもそれが、居心地が良かった。

そんな毎日とも今日で最後。

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