空色の恋

白いドアを開けると

ベッドの上に

窓の外をぼーっと眺めるそらがいた。

こっちに気付いたそらは

"遅いぞ"ってふざけて頬を膨らませたあと、

綺麗な笑顔で笑った。

泣きそうになった。

大好きだよ。

大好きだよ。

「………大好きだょ…」

気付けば声に出ていた。

「どうした、急に?」

困ったようにそらは笑った。

俯くあたしに

「………俺も………」
って小さく聴こえた。

見れば笑顔のそらが照れ臭そうにしていた。

「…こっち来いよ。」

「うん。」

ベッドの横まで行くと

そらはあたしを椅子に座らせて

それから

強く抱き締めてくれた。

病院独特の匂いから

一気にそらの匂いに変わった。

噎せる程吸い込んだ。

ああ。

あたしはこの人が好きだ。

何よりも好きだ。

目頭が熱くなった。

「…どうしたんだ?」

急にそらが聞いた。

「え?」

「さっき、泣きそうだったじゃん?」

…気付いてたんだ。

「何?また親と喧嘩した?」

「ううん。」

あたしは首をふる。

「じゃあ、どうした?」

…ここで言ったらどうなるの?

君からあたしの記憶が消えるかもしれません、って。

だからあたしは悲しいんです、って。

そしたら、

そしたら君はきっと

"はるを忘れるくらいなら俺、手術なんてしねぇよ"って言うから。

だからあたしは

「んっとねー、走ったら疲れすぎて涙でた・笑」


笑顔で君に嘘を吐くよ。

< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

図書室の君

総文字数/467

恋愛(学園)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
図書室には いつも 君がいた

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop