金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

二人が何を話しているのかよく聞こえないけれど、有紗は毛を逆立てて敵を威嚇する猫みたいにずっと曽川先輩をにらんでいる。

当の本人はそれをへらっと受け流し、私の方を指差していた。

「千秋ちゃんを呼んでよ」

そんなことを言っているようだった。


曽川先輩の派手さと有紗の剣幕はすぐにクラスの注目を集め、そしてそれは次の古典の授業のために教室に入ってきた恩田先生の目にも留まった。



「もう次の授業始まります!帰ってください!」



有紗の声が一層大きくなり、クラス中が二人のやり取りに耳を傾ける。



「冷たいなぁ。俺、有紗ちゃんに何かした?」


「しました!私の大切な親友を傷つけた罪は重いんですからね!」



ちょっと、有紗……

怒ってくれるのは嬉しいけど、クラス中の視線が今度は私の方に……


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