金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「――土居くんって、千秋ちゃんのこと好きだよね」



微笑みながらさらっと言ってきたのは菜月ちゃんだ。


菜月ちゃんは大人っぽくて、いつもクラスで一人でいるのに決して孤立しているわけではなくて……

高校生なのに自立した感じがカッコいいなといつも思っていたから、そんな彼女にいきなり土居くんのことを突っ込まれて、私は焦って挙動不審になってしまった。



「な、なんで菜月ちゃんがそれを……」


「彼を見てればわかるわよ。しかもその反応だと、もう告白されて断ってる」


「うわ、菜月ちゃんってエスパー?そうそう、あいつ一回振られてるのに諦め悪いよねー」



有紗が呆れたように言うと、その背後から張本人の声が。



「……悪かったな。諦め悪くて」


「うわ!土居」


「うわ、じゃねえよ。そりゃ三枝と一緒の班になりたいのは確かだけどさ。俺らとお前らで組めって言ったのは恩ちゃんだぞ」



恩田先生が……なんで?


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