金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

サルビア


私はそれからときどき、土日のどちらかに先生の家に通うようになった。

勉強を教えてもらったり、一緒に庭仕事をしたり、そして時には抱き合ったり……


もう、小夜子さんのことは心配しなくていいかもしれないと思えるほどに、私と一緒に居るときの先生は幸せそうだった。

よく笑ったし、その笑顔も無理して作ったものじゃなく、本物の輝きに溢れてた。



その日も私はいつものように、足取りも軽く先生の家へ向かっていたのだけれど……



「……誰か来てる」



先生の家の前の道路に、白い車が停まっていた。

どこかで見たことがあるような気がするけど……どこだっけ?


来客の予定なんて先生から聞いてないけど、訪問販売かなにかかなぁと思いつつ、玄関の方を覗く。


すると、腰に手を当てて扉の前に立つ髪の長い女の人を見つけた。

その人はおもむろに拳を振り上げると、激しく扉を叩き始めた。


「あーきーひーと!いい加減に出てきなさい!!家族に居留守を使うとはどういうこと!?」


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