金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

コチョウラン


――――土曜日、私は待ち合わせ場所の駅前でそわそわしていた。


この格好で大丈夫かな……


持っているどの服を着ても、曽川先輩の隣を歩くにはふさわしくない気がして、家を出る前に何度着替えたかわからない。


それでもようやく選んだピンクのシフォンワンピースは、裾に黒のレースが刺繍してあってこの春のお気に入りだ。


背の高い曽川先輩となんとか釣り合いたくて、足元のパンプスは今日みたいに街を歩きまわる日には向かない、7センチヒール。


履き慣れない靴だから、つま先が少しだけ痛い。



「先輩、まだかな……」



携帯で時間を確認すると、約束の時間を5分過ぎていた。

改札の方をじっと見ても、それらしき人は見あたらない。


メールしてみようかな……

でも……5分遅れたくらいで連絡するなんて、うざい……?


< 58 / 410 >

この作品をシェア

pagetop