【短編】異端の二人
「私? 愛してるけど?」

「正直に言ってくれ。君の本当の気持ちを……」

「だから、正直に言ってるわよ?」

「本当に? 本当に僕を愛してくれてるのかい?」

「本当よ。あなたが言ってくれないから、私も言わなかっただけ。私はあなたを愛してます。心から」

「ナナ!」


タカはナナの身体を抱き寄せ、力一杯に抱き締めた。


「ああ、ナナ。僕の大事な人。僕は君なしでは、生きられない」

「ちょっと、タカ、苦しいから……」

「あ、ごめん」


タカが腕の力を緩めると、ナナは微笑みながらタカの顔を見つめた。すると、タカの目に光るものが……


「タカ、泣いているの?」

「あ、ああ。あまりに嬉しくて、つい涙が出てしまったよ」

「もう、タカったら……」


今度はナナがタカの顔を胸に引き寄せ、抱き締めた。


「本当に愛してる?」

「あなたって疑り深いのね? 本当に愛してます。神様に誓ってもいいわ」

「神様、かあ……。僕のした事は、神への冒涜かもしれない」

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