君との365日
『羽音…よう聞きや?』
「え?」
一瞬、ほんの一瞬だけ海音の声に焦りがあった。
何かを決断したような声と何かに焦りを感じてるような声。
――悲劇の始まりだった。
この悲劇を喜劇にできただろうか?
いや、私にはできなかった。
正しくは私たちには出来るはずがなかった。
『…――、で?』
目の前に大きなトラックが通過して、海音の声が聞き取れなかった。
何かを言ったようだけど、内容が分からない。
「なに?聞こえなかった」