* another sky *

何?って、彼氏だよ?

一番近い場所にいるよ?

好きだよ?

ずっと近くにいて欲しいよ?


何でなんだろう…。

どうして私の気持ち、伝わらないんだろう。


昔から、自分をさらけ出すことが苦手だった。

感情をむき出しにすることなんて、なかった。


だって、怖かったから。

嫌われたくなかったから。



父の仕事の関係で、引っ越しが多かった子供時代。

いつも転入生と転校生を繰り返していた。


「離れていても、友達だよ。」


その言葉を信じて、新しい土地になかなか馴染めなかった。

新しい友達をつくることが、なんだか裏切りのような気がして。


バカみたいに頑固に、義理立てしてただけなんだけどね。


だけど、本当は、―――。

『親友』という言葉にものすごく憧れていたんだ。


もっと柔軟に、新しい人間関係にとけ込むこともできたのかもしれないのにね。

だけど、転入生はすぐに珍しくなくなってしまうから…。

私は仲良くなれるきっかけを見つけられずに、いたんだ。


さびしがり屋のくせに、意地っ張り。

いつも良い子でいようと心掛けていたし、実際そうだったと思う。

気付いたら、一人でいることが多くなっていった。


そんな時に、モーグルに出会ったんだ。


嫌なことも忘れて、ひたすら打ち込んだ競技生活。

個人競技が向いているんだろうなって思う。

辛かったけど、楽しかったことの方が、多かったから。
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