* another sky *

「麻友理のこと、嫌いになりたくないんだ。

このままだと本当に…。」


―――――――!!


「嫌いになる?」


―――――。


航太は私を押し返し、出ていく。

振り返りもせずに。


ドアが閉まる音と同時に、私はへたり込んでしまった。


終わった…の?

私達…、終わってしまったの…?

必死に…、積み上げて…きたのに…。



ああああ……。


――――― っ!!


ああああああああああああ―――っ!!!



運命の、人だと思ってた。

私が由樹と別れたことも、航太が玲と別れてくれたのも必然。

そう、信じてた…。


心のずっと奥深いところでは、ね。

わかってた…よ。

私が間違ってるって。


でもそんな思い、ずっと蓋をして突き進んできたんだもん。

そのうち何が本当で、何が嘘なのか、わからなくなってしまった…。


ずっと玲を忘れられなかったんでしょう。


だって、あのクリスマスの夜から、航太は私に手を出すことはなかったもんね…。

だからね、初めて航太が私に触れてくれた時…、本当に、嬉しかったの…。

ああ、やっと。

やっと、私だけに航太になったって…。

やっと幸せになれるって…。

心から震えたんだよ。


航太…。

もう、戻れないの?

私はこれからどうやって生きていけばいいんだろう…。


立ち上がる…力なんて…残されていないもの…。


頭を上げる力さえ…もう…。

< 416 / 769 >

この作品をシェア

pagetop