* another sky *

でもさ、これでも必死に抑えたんだよ。


『一人ぼっちで、辛かった。』


あんなに感情を露わにした玲は、初めてだったから…。

子どものように泣き喚く玲に、俺は魂を揺さぶられたような気がしたんだ。


我慢ばかりさせて、何も言えない玲にしたのは、俺だったんだって、わかったから。



腕の中に、玲の感触が残っている。


潤んだ眼差しで、見つめられた時。


衝動的、だった、―――。


泣かないでくれ……。


そんな思いで、…額にそっと口づけたんだ…。


驚いてた、な…。

そりゃ、当然か……。


だけど、―――――。


もう二度と、玲に触れることはないと思っていたのに。


お互いに、引き寄せられるようだった。


何度も、何度も重ねた唇は、まだ余韻を残して、俺を打ちひしぐ…。

もっと、もっと、キスを続けたかった。

病院じゃなかったら、押し倒していたかもしれない。


頬にキスをするだけで、真っ赤になって照れていた玲。

ほとんど経験が無かったといっても、過言じゃない。

心を開いてくれるまで、時間をかけて…。


俺が、全部、……。

玲を変えたと、思っていたよ。


全て俺を信じて、受け入れて…。


もう、あの頃の玲は、いないんだな…。


「…玲。」


声にして、突き刺さる。

もう二度と、触れられない、君への思い…。

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