* another sky *
「私もコーヒーメーカー、買おうかなぁ。」
リビングに漂う、コーヒーの良い芳香が、幸せな気持ちにしてくれる。
「仲直りしたら、買ってもらいなよ。
あなたの為に、私が毎日、コーヒー淹れてあげるからねって。
翼君なら、速攻、買いに行くっしょ?」
「翼のキャラ、可笑しいでしょ、それ。」
確かに、翼なら有り得る気がして、紺ちゃんと一緒に笑ってしまう。
「それで、何で喧嘩したの??」
着替え終わった綾子が、髪をまとめながらリビングに戻ってきた。
「うん、それがさ…。」
私は、昨日の一連の流れを、二人に説明した。
「え、ピンクが原因?」
「だって、翼、―――。
全然、譲らないんだもん…。」
「そんなことで、玲ちゃん、帰っちゃったの?」
「それは、玲がやり過ぎでしょ。」
大きな溜め息を吐きながら、綾子が呆れたように私を覗き込んだ。
「何で、―――?
玲ちゃん、ピンク嫌いなの?
俺、結構、そういうイメージ、あったのに。
翼君の肩もつわけじゃないけど、似合うと思うよ?」
不思議そうな顔をした紺ちゃんに、綾子が言いにくそうに説明する。
「…ピンクが嫌なわけじゃないんでしょ? 」
――――――。
「…渡瀬さん、でしょ?」
――――――!!
「…うん…。」
やっぱり、綾子にはわかるんだ。
私がピンクを、避ける理由―――。