* another sky *

「…玲?」


「―――、翼?

頭、痛いの?」


心配そうに覗きこむ玲の表情に、俺はたまらなくなって玲の腕を掴んだ。


「玲、…隣に来て。」


ベッドの中に誘い込むと、玲はゆっくりと顔を近付け、俺の頬を触る。


もう一度、額に手を当て、

「風邪かな…。」

と呟いた。


熱なんか、ないよ。

ただの二日酔いだし。


「……っ。」


そっと瞳を開けると、間近に玲の顔。

長い睫毛が心配そうに揺れている。


「大丈夫??」


「うん。飲み過ぎて、頭、痛いだけ。」


思わず、正直に答えてしまった…。

あーあ。


「昨日、誰と一緒だったの?」


―――――――!!


玲ちゃん、その眼差しは…、ヤキモチですか?


俺は嬉しくなって、つい、白状してしまう。


「諏訪さんだよ。」


「へ? 諏訪さん??

諏訪さんと飲んでたの?」


「うん、――――。

ちょっとね、むしゃくしゃしてたし。」


「そっか…。」

そっと伏せられた視線を追いかけて、覗き込んだ。

ゆっくりと頭を上げて、玲を引き寄せキスをする。


「んっ、…。」


戸惑ったような表情を無視して、俺は何度もキスを繰り返した。


「…翼、あのね。」


玲、どーした?

俺、もう怒ってないよ。


そんな意味を込めて、優しく見つめ返した、俺。
< 605 / 769 >

この作品をシェア

pagetop