* another sky *

「心配するに決まってるじゃない。

もうっ!!」


「え、そう?ごめん、ごめん。

だから早く帰れるなあと思って。

玲、今日遅いの??」


「……っ。」


もう、―――!!


「じゃあ、そこまで書いてよ!!

あれだけじゃ、わかんないでしょうっ!!」


「電話で話した方が早いじゃん。

メール打つと痛いし。」


「痛いっ、――――??

手も怪我したの??」


「ふはっ、してない。」


もう―――――っ!!!


電話の向こう。

キイキイする私を、笑う翼にイラッとする。


「今、諏訪さんとごはん食べてるから!!」


「え、いいなあ。俺も行こうかな。」


行こうかな、って…。


「歩けるの??」


「歩けるっつーの。

ていうか、テーピングしてるだけで普段通り。

ただ、スケート靴は明日まで履けないけど。」


そっか…。


「じゃあ、タクシーで来てね。」


お店の名前と住所をメールして、送った。


「上原選手、来るって??」


諏訪さんの声が上から聞こえ、私は振り向いた。


「はい。怪我したらしくて、今日は早く帰ってきたみたいで。」


「怪我??」


「軽い捻挫、だそうです。」


私が神妙な顔をしているのにも関わらず、諏訪さんは


「え、―――。

じゃあ、飲まれへんの??つまんねー。」


なんて返してくる。


もう、心配したのに。

翼はいつもこうなんだから。


目の前でプリプリしている私に、諏訪さんは可笑しそうに笑っていた。

< 690 / 769 >

この作品をシェア

pagetop