* another sky *


「どこ行ってんの?」


「それが神戸なんですよ」


「神戸っ―――??
いいなあ、この時期綺麗なんじゃないの?」



すとんと椅子に背中をつけると、桜木さんは心底羨ましそうな声を出した。



「いいですよねぇ」



クリスマスシーズンのこの時期。

神戸でデート、なんて。

テレビで特集だって組まれてるし、全国の女子の憧れのデートスポットなんじゃないの?



「羨ましいーっ」



年末年始に開催されるアイスショーに出演するため、今日から約1か月の間、翼は日本中をあちこち旅して移動する。


何度か戻っては来れるものの、平日ばかりで私の休みとは重ならない。


そしてクリスマスは勿論、―――。


新年も迎えて早々、2日からまた遠征に出かけてしまうんだもん。


冬は私にとって、寂しいぼっちの季節なのだ。


仕事柄、わかってはいるんだけど、やっぱりクリスマスは一緒にいたいなあ、なんて。



あれ、―――?


クリスマス、―――??



私、翼と一緒に過ごしたいんだ、なんて今さらながらにふと思う。


< 728 / 769 >

この作品をシェア

pagetop