89×127


授業が終わって渚のもとへ向かうと、すでに招待状は開かれていた。


綺麗な白い花の絵で飾られた小奇麗な封筒だ。

覗き込むと渚が顔をあげた。



「勝ち残っちゃった。」


「さすが渚。ここぞという時は強いですね。いーなー結婚式。」


「…代わりに行く?」


「それはダメ。渚が勝ったんだから楽しんでおいでよ。」




ここで渚が代わってあげると言ったって、それはフェアじゃない。

あたしは負けた訳だし、みんなだって行きたいんだから。



「そー言うとこばっか大人なんだから。」


「お姉さんと呼んでくれて構わないわよ。」


「呼ばないけどね。…ひかりの分も楽しんでくるよ。」


「花嫁さんにもよろしくね!あ、花嫁さん何て名前?」


「えーっと、」


「二瓶美雪。これからは松下だけどな。…真鍋、結局負けたんかお前。」


「あら先生。そんなにひかりに来てほしかったんですか?」


「松下たつのりあたしのことダイスキだもんな。」


「なにを言っているんだお前は。オレが好きなのは嫁さんだけだ。」


「うわ、さらっとのろけやがった。」


「先生、そんなんじゃお嫁さんに逃げられますよ。離婚理由がウザいからだなんてシャレにならないですね。」



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