杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集


キミの後ろ姿を見送っている。


今まで気がつかなかった
こんなに小さな背中をしていたんだね。


ボクは
一番近くにいたはずなのに…


ボクは
キミの何も知らなかったんだと
改めて知ったよ。



「 修夢の心に私は…
いるのかな? 」



1ヶ月くらい前に言わせたセリフ
見たことのない麦葉の顔。



「 もちろんだよ!
ボクの心は
いつもいつでも
麦葉でいっぱいだよ。 」



笑っているボクを見ている。
ボクを見ている麦葉の瞳には
いっぱいの雫が流れそうだった。


麦葉の流れそうな雫を見ていても
可愛い!!
って見ているだけで
麦葉の心の声までボクは気がつかなかった。




何分前になるのかな?



「 もう…
私…
修夢くんの…
となりで息を吸うことも出来そうにない! 」



その麦葉からのセリフを
ボクはドラマでも見ているように
感情がないまま
耳に入っていた…


うん?
今のはボクに伝えてる?



「 だから私たち終わりにしよう! 」



ボクの答えも聞かないで
深々と頭を下げている。

それ以上
ボクに何も伝えずに
一瞬だけ笑って
麦葉は歩き出した。




ねぇ
麦葉
ボクはキミを大好きだったよ。
たぶん…


でもキミを手に入れたこと、
それだけで満足していたのかもしれない。


手に入れた?

いや、
手に入れてなんかなかったんだよね。


キミを何も知りもしないで、
ずっととなりにいてくれるって
勝手に思って…


ごめんね。


恋愛って上手くできないや。

学校のテストを
いつも一番になっても
心理テストを何回しても…


誰よりも大好きだった!


キミに伝えられる時がくるのかな?


もう勉強しなきゃ
ダメだね。



麦葉
本当にごめん。

将来キミが誰かを選ぶ時に
もっと人の痛みがわかる男になって、
今の気持ちを伝えにいくから…


それまで…


さよならにしておくよ。





end




2014/05/30



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