彼処にも此処にも

馬鹿(藤宮笑哉)

俺は走っていった栄の背中を見送り、はぁ。と、ため息をついた。

あいつのことは小さいときから知ってるけれど、今まで恋とかしたことがないと思う。

俺は彼女をきらしたことがなかった。
(という、ちょっとした自慢)

あいつも、モテていた。

見た目と言動が馬鹿なので、遠巻きに囁かれていただけだが、俺も何回か栄が好きだと言われてフられたこともあった。あの馬鹿は気づかないだろうけど。

というか、あいつは俺らになにか遠慮している。そのおかげでダラダラと仲良くできていたのかもしれないが、少なくとも心と賢は俺に愚痴をこぼしてきた。

はぁ。2回目のため息をついて栄に電話した。でる間に3人に花壇あたりに落ちているであろうものを探せと言った。
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