「すき」だらけ
「ただいま」

一呼吸して玄関の扉を開ける。

こんなに早くこの気持ちを伝えたいなんて思いもしてなかった。

でもヤキモチや妬む気持ちを少しでも軽くしたい。

自分がどんどん嫌な人間になるくらいなら心を軽くしたい。

辻宮の答えなんて分かってる。

「おっ未彩おかえり」

「依智、辻宮は?」

「隼人なら俺の部屋だけど」

リビングでテレビを見てた依智に話しかける。

そっか。辻宮は依智の部屋にいるんだ。


今しかない。


ごくっと息を飲んであたしは一歩ずつ階段を上った。
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