昔みたいに 抱きしめて?

翔のために

次の日、私は翔の分に取り掛かった。

甘党の翔には、小さめのホールのチョコレートケーキを作ろうと思っていたんだ。




…はっきり言って、難しい。

作っている途中で何度も思った。

前にお母さんたちと作った時には、スポンジケーキだけは市販のものを使ったから。

スポンジケーキから作るのは初めてなんだ。

そして、お母さんたちが回避してた理由も今ならわかる。

ほんとに大変なんだ…。





朝から作り始めて、結局作り終えたのは午後。

今から届けに行こうと思い、翔にメールを打つ。


『OK』


すぐに翔から返信が来る。

私はケーキを崩さないように箱に入れ、ラッピングをした。

そして、ケータイをポケットに入れてから


「行ってきます。」


とお母さんに声をかけて家を出た。
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