カゼヒキサン。
「か…海斗!?」


黒いカーディガンをさらっとはおって

白いTシャツに合わせ

すらっとした濃い色のデニムパンツを着こなし

なんか胸元にはシンプルなネックレスまでしてるし!


……誰!


「…変?」

「え、変じゃない!!変じゃない、けど…。」

「けど?」

「…けど…。」

か、かっこよすぎて海斗に見えないなんて言えませんけど!!

「…けどなんだよ。」

なんだかブスーッとすねてるようにする海斗。

「ブハッ…!」

その様子があまりにもおかしくて、笑ってしまう。

「なんだよ!バァカ!」

そういうと海斗はあたしのほおをぐぃぃぃとつねる。

「いひゃいいひゃい!はにゃしてよ!!へんじゃにゃいってばぁ!!」

あたしは必死にその手を離そうとする。

すると、すっと手が離れる。


「変じゃない、けど…なに?」

うっ!やめて、そんないたずらっぽい顔。

「…似合ってるよ!似合いすぎて、海斗じゃないみたい。」

「んだと!」

「…自分らしくないのは、あたしだって同じでしょうが!」

フンッ、とこっちもすねたようにする。


「…バカ、似合ってるつーの。」

「え、っわ!」

いきなりキャップをふかくかぶせられる。


海斗の顔はよく見えなかったけど少し赤かったように見えた。
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