0.8%の晴天
帰り道も雨、相も変わらずザァザァと降り続ける雨は飽きる事なく地面をぬらす
どうあがいたって人は動くし風もふくしで、傘の中にいたからってぬれない事はないんだ
ぬれっるってのはやっぱ気持ち悪いし好きじゃない、好きになれない
帰り道が気まぐれで人通りの少ない道を通る
傘をさしているならやっぱ人ごみは避けたいって考えるのは普通だよな?

交差点の右と左、直進の3択は運命の分かれ道、止まれの線を追い越して大きく右に右折したら足元で小さく何かが鳴いた

「あん?」

振り返って足元を見たら2度目の鳴き声が耳に入った、かすれた声の主は足元に捨ててあったダンボールの中
黄金の瞳に真っ黒な体、そいつは小さく震えながら不安そうな目で俺の方をずっと見ていた、ダンボールには一言、『拾って下さい』 残酷で人任せなお決まりのセリフ

「お前捨てられたのかー」

かがんでそいつがぬれないように傘に入れてやる、自分の背中が少しぬれるけど、この際それは気にしない
返事を返すようにもう一度鳴いた震えてる身体、見た感じ生まれて数日くらいしかたっていない真っ黒な子ネコ
アパートは親が金だして部屋を買ったんだからペット禁止じゃねぇよな?
なんてもう飼う算段をしている俺は甘ちゃんなんだなと苦笑しつつ
震えているにゃんこを抱き上げる

「帰るか」

新しい家にな、テメェを捨てたご主人様のトコには帰ることはできないけど、一人暮らしに新しいパートナーってのも悪くないよな?

%

新入り君を部屋に入れる前に一応管理人のばぁちゃんに確認を取ったら
そもそもここはペット禁止じゃなかったらしい、吃驚だ
散らかった部屋にネコを入れて洗面所に山積みされたタオルの中から適当に一つとってぬれた身体を乾かす兼温める用に使う

ごしごしとちょっと乱暴に身体を拭いたらその下で結構暴れてやんの、元気で何より
小さく鳴いた相方君の飯は今日買った牛乳じゃダメだった気がする、ドコで覚えたんだろうこの無駄知識、イヤ、役に立ったんだし無駄じゃないか…

とりあえず人間の赤ん坊用の粉ミルク薄めればいいんだったよな?
近くのコンビニへダッシュで買い物へと出かけた、空はやっぱり雨模様
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