クツズレ
 

 じっとハイヒールを見つめている彼女に、僕は

「気に入ってたんですね?」

なんて、そっと尋ねてみる。


「気に入っていたのかどうか、今ではもう、分からないです。

ただ負けたくない一心で……
訳もわからず頑張っていた気がします」


彼女は顔を上げると、僕に微笑んで見せた。

「でも私の頑張りは、誰にも気付いてもらえなかった」



消えてしまいそうな程の声で、儚なくそう呟く彼女もまた


月の光に照らされて


哀しく光っていた。





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