魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
凛はあたふたとパーカーと幹久を交互に見遣る。
「み、幹久先輩っ、これ、」
「着とけ。」
肩からパーカーを取ろうとしたが幹久に手を掴まれ、凛はそのまま羽織っておくことにした。
素直に、とは言えないが、渋々、好意を受け取った凛は申し訳なさそうに俯くと小さな声で言った。
「幹久、先輩…」
「なんだ。」
「ありがとう、ございます。」
いつも辛いときは幹久先輩が傍にいるなぁ。と凛は俯きながら思う。この、ジワジワと込み上がり、もどかしくなる感情の正体を凛はまだ、知らなかった。