魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





話を聞いていく内に凛の震えは酷くなる。母親は、響から目を逸らすと、腕の中に居る凛を見ながら小声で言った。





「……本当なの?」





訝しげに話の内容を確かめてくる母親に凛は小さく頷いた。


この場に居合わせた誰もが、凛の母親はショックを受けて居るだろうと思った。


自分の息子に“犯罪者”のレッテルが付けられたのだから。


ゆっくりと顔を上げた凛が何かを言おうと口を開いたとき。





「なに寝惚けたこと言ってるの。」





―――――――母親は静かに言う。
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