雨が降る日は誰か死ぬ
「何があったの?」


勇作の問いに少女は答えず、ただ頭を抱えて震えているだけである。



「とにかくびしょ濡れだから、警察が来るまでうちに入ってなよ」


そう言って少女の肩に手を掛けようとした瞬間。




少女が振り向いた。


今度は悲鳴を上げなかったけれど、相変わらず震えたままである。



勇作は息を飲んだ。


突然ブツブツと何かを呟き始めた少女の目は、明らかに正気を失っている目だったからである。


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