雨が降る日は誰か死ぬ
「何があったの!?」


水の中から上がった悠美が、サッカー部の後輩でもある茉鈴に向かって、少しキツめの口調で言った。


今までの人生で味わった事のない恐怖に、ただ呆然としていた茉鈴の脳裏に、さっきの由真の助けを請う顔が浮かび上がる。


青紫の少女に抱きつかれ、必死で助けを請う由真の顔が……。



「イヤぁあああああああああ」


茉鈴は頭を抱えて大声で叫ぶと、そのままガタガタと震え始めた。



「ちょっと水谷!」


突然のことだったから、悠美は慌てた。

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