lave letter for YOU

菜美へ

あの結婚式からもう三年の月日が経ったよ。

目を閉じれば今でもすぐに

菜美の照れ臭そうな笑顔に

幸せそうな笑顔を思い出せるよ。

一生忘れることなんてできない宝物のような結婚式だった。

と言っても正式な格式張った結婚式でもなかったし

心の底から祝福されるような結婚式でもなかったね。

大会社の令嬢だった菜美と

ごく普通の家庭で育った僕が釣り合うわけもなくて

僕の両親も菜美の両親もすごく反対してた。

菜美が入院してからはより一層反対されたよね。

お見舞いに行くことさえ菜美の両親は許してくれなかった。

それでも僕たちは親の目を盗んでは

お見舞いに行ったり

小さなデートを繰り返したよね。

病院の庭をただ散歩するだけのささやかなデート。

すごく幸せだった。

でも不安でもあったんだ。

時折、菜美はふっと笑顔の裏で遠くを見つめていたし

手を握るたびに小さく弱々しくなっていたから。

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