それでも、愛していいですか。
阿久津は静かに唇を噛みしめた。
俺の中でこんなに彼女の存在が大きかったなんて。
この胸の痛みは、なんだ?
俺は、なんて情けない男なんだ。
大切な人を傷つけてばかりだ。
顔を覆う手に涙が伝う。
……今を生きる決心をするのが、遅すぎた。
俺は、また、大切なものを失ったんだ……。
阿久津はただただ頭を垂れた。
そこへ、マスターが静かに、ミルクがたっぷり入ったアメリカンコーヒーをすっと差し出した。
マスターはなにも声をかけなかった。
ただ静かに、カウンターの中でカップを拭いたり、洗い物をしたりしている。
阿久津は、大きく深呼吸し、涙を拭った。
カップに指を絡ませ、アメリカンコーヒーを一口飲むと、体中に温かさが染み渡った。
またひとつ、大きなため息が漏れる。