それでも、愛していいですか。

足の力が抜けて、ふらっとしたところを孝太郎が抱きとめると、奈緒の顔を優しく手で包み、親指で頬の涙を拭った。

そして、優しくキスをした。

孝太郎の手が、唇が温かい。

その温かさが胸を締めつける。

孝太郎は、奈緒の背中に手を回し、抱きしめた。

「……俺じゃ、駄目か?」

「……え?」

そんなこと突然言われても……。

「……わかんない」

困惑している奈緒を見て孝太郎は、

「……ごめん」

と言って腕を解いた。

奈緒はうつむいたまま、なにも言えなかった。

「……俺は、いつもお前の味方だから」

そう言い残し孝太郎は、部屋を出て行った。

力が抜けた奈緒は、その場にへたり込んでしまった。





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