イジワル王子の溺愛




「あれ、翼どうしたのその顔」


教室に戻ると、充が不思議そうに俺を見た


「…なに、なんか変?」


変わらずイケメンだと思うけど


「すっきりした顔してる。なんかあった?」


「あぁ、自分の気持ちに片を付けた」


「ふーん?」


「なに笑ってんだよ」


「笑ってねぇーあはは」


「おい充、しめるぞ」


「きゃー翼怖ーい」



ふざけんなよ、充




「まだ、始まったばっかりだ」


叶わない片思いはな


そう言う俺を、充はただ黙って見ていた


女にも苦労しない

敵だっていない俺だった

これが春なら遅すぎる


季節はもう、秋から冬へ移り変わろうとしていた


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