アンタ達、あたしの日常どこやった?

時間と事実は嘘をつかない


今までは下校ラッシュに紛れてたから、満員の通学列車があたりまえだったけど、真颯会に入ってから帰る時間がズレたせいか、ゆったり座って帰れるようになった。



…もれなく中原王子が付いてくるって言うハイリスクハイリターンはついてきますけど…



「成田さん、って雑学好きなの?」



座っているあたしの前に立っていた中原くんから、不意にそんな声が降ってきて、あたしはびっくりして顔を上げた。



「雑学?」



「ほら、さっきの色の話、みたいな」



…ああ、五神のアレか。



「本読むのは好きなんで、まあ自然と雑学は蓄積されてるかも知れないですね」



「ふうん…スゴいね」



感心する中原くんをよそに、あたしは相変わらずファイルのページをめくる。



「真面目だよね、成田さんって」



「はい?」



「そうやって、ファイルにまとめたり、ちゃんと読んだ本の内容覚えてたり」



「…そうですか?」



「うん、俺はそういうの苦手だから。全部思い付いた端から口に出るから蓄積ゼロだし」



「いや…中原くんの場合はその発想力が武器みたいなモノじゃないですか」



「じゃあ俺が片っ端から好き放題やって、成田さんがフォローしてくれたらプラマイゼロだね今年は」



「いやいやいや!中原くんに好き放題されたらあたし3日ともたないです!」
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