調○彼女
先輩

彼女

雨の音が響く

私が落ち着くまで先輩はずっと頭を撫でてくれた


優しくしないでよ…辛くなるよ…


「俺もずっと片思いだった…」

先輩がポツリと話し出す。

「俺が中一の時、彼女と俺はちょっとしたアクシデントで出会ったんだ…
俺は彼女にハンカチを借りることになった。一目惚れだった。しばらくして返そう返そうと彼女を探して、見つけたんだけど…彼女は俺の事なんて覚えてなかった…」

先輩みたいな人を忘れるなんて、すごい人だな…

こんなにカッコイイのに…

先輩がクスッと笑う

「すんげーショックだった。それからはもう見るだけ。休み時間、体育、昼休み、ずっと探して見つめるだけ…それでも足りなくなって、見てもらおうとミスターマスコットまでなっちゃった!」

先輩…そこまでその人の事を…

ずるい…そんなに想われて、ずるい…羨ましいよ…

「結局、そんな事したってあんまり意味なくて、それでも諦められなくて途方に暮れてた。俺みたいな人間が、彼女に相応しいかも不安だったし…拒絶されて、もう見ることも許されなくなったらって考えると怖かったし…
そんな、グダグダ悩んでるときだった…」
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