3度目の結婚
一緒に住み始めて、しばらくすると隆さんは病院を、
私は会社を辞めた。

会社では、美咲が寂しそうに「ひなた、偶には飲みに
 行こうね。連絡するからね」と送り出してくれた。

短い期間ではあったが、本当に派遣社員ではあったが
居心地の良い会社だった。

「美咲、あなたは今度から正社員で、役員秘書なんだから
 頑張ってね! いつでも連絡頂戴。待ってるね」

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「「お疲れ様」」

カチーン♪ 

「隆さん、本当にお疲れ様でした。」

「ひなたも、お疲れ。明日から姉貴の所だな。」

「はい、今までよりも近いですし、ただ帰りは今までより
 遅くなりますが、隆さん大丈夫ですか?」

「子供じゃないし、留守番できないわけじゃないだろ。
 それに、今までひなたが俺の都合に随分合わせて
 くれたんだから、今度は俺がひなたに合わせるよ。」

「ありがとうございます。まだ明日、行ってみないと
 わからないんですが、しばらくは、迷惑かけると
 思うので・・・・・。」

「気にするな。ところでひなた、ひとつ頼みがあるんだ。」

「なんですか?」

「近いうちに、俺の両親に会ってくれ。本当は、もっと早く
 連れて行きたかったんだが、なかなかお互い時間が合わなかった
 だろ。両親が、『早く会わせろ』ってきかないんだ。
 それと、もう一つ。そろそろ敬語を止めてくれ!頼む」

「はい・・・。敬語はがんばりま・頑張る。
 ご両親の件は、本当に私、お・会っても良いの?」

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